だんだん報告をしなくなる部下


感情の取り扱い事例
叱られても繰り返す裏には

やめたいことは?と質問すると、受講生は「だんだんと報告をしなくなって、ついに社長に叱られるというのを年に1、2回のペースで繰り返しています」と答えた。

受講生は会社の幹部だ。部下に報告の指導をする側だから、報告の大切さなどはよくよくわかっているはずなのに。


頭ではわかっているのにできない

4nessコーピングでは、わかっていてもやれないことには歪んだセルフのB(自己概念)があると考える。そして、歪んだセルフのB(自己概念)には未処理の感情があり、その処理を進ませると自己概念が変わり、現実が変わる。やれないんじゃなくて、やりたくないのだ。やらないことがやることよりメリットがあり、必死に自己を守っているとも言える。


投影図でセルフのBを探ってみる

受講生がやめたいことは『だんだんと報告しなくなって、社長に叱られる』。ここで繰り返しているパターンがあるか尋ねると『社長に限らず、友人にも先延ばしにして自分を否定される』

その現実があなたの「〜でなければならない」「〜であるべきだ」が投影されているものだと仮定したらと尋ねると受講生は「もっと私を信頼して任せるべきだ」と答えた。続けて「なぜなら、私は〜だから」と答えてもらうと受講生は「なぜなら、私は信頼できる人だから」とのこと。

『自分は信頼に値する』といった自己概念が真にあれば、現実には信頼する行動をする。だが、受講生は信頼されない現実を作り出している。

あなたは自分が信頼されるかどうかを試しているのね。いや、どうせ信頼しないんだろ!と反抗している。「報告」で相手の自分への信頼度を測ろうとするのは、誰も自分を信頼しないといった自己概念があるからじゃないの?

受講生は自分の母親のことを話し出した。
「明日の準備はできた?忘れ物はない?宿題は?
と尋ねられることが嫌だった。まるで自分が信頼されてないように感じていた。」

あぁ…私にも身に覚えがある。小学生の息子に同じように尋ねていたら、息子は「なんでお母さんは僕を信用してくれないの!」と大きな声で言ってきた。その日、ずっと考えた私は翌朝一番に「信用してないんじゃなくて心配なだけなの」と息子に伝えた。

こういった行き違いは少なくない。母は女性同士の愛情表現を男児にもする。しかし、男児は子どもと言っても男だ。男性は女性の愛情表現を自分が何もできない人のように扱われたと感じる

あなたは自分を信頼するかどうかを測ろうとしているから、報告に限らず誤解を受けそうなことを敢えてやっている可能性がある。わざと際どいことをやって自分を信頼するか相手をテストする。それでは人とのコミュニケーションはうまくいかないし、テストして相手を測ってどうしたいの?あなたが報告してこないことを社長が見過ごせば納得できるの?違うよね。じゃぁ、どうなれば納得できるの?

受講生はうつむいたままだった。

信頼は積み重ねるもの
「報告」に関してはあなたの信頼の残高はマイナスよ。「報告」といった小さいことを疎かにする人に大きな仕事は回ってこない。それに、仕事に「自分への信頼」といったプライベートなことを混同していること自体、未成熟

あなたが心から欲している「信頼」はこのままじゃ得れない。あなたが報告を疎かにすることには、「お前もどうせ僕を信頼しないんだろ?!」と「誰も信頼しない自分を確認する」目的があることに気づかなければ、報告の仕方をどれだけ学習しても報告はしないでしょう。報告してしまったら目的を達成できなくなるから。
最初から相手が自分を信頼しないことは自然なこと。だから測るのではなく、時間をかけて信頼を積み立てていくのよ。

すっかりおとなしくなってしまった受講生。神妙な顔で聞いていた。
よく考え、よく味わって欲しい。信頼は人との絆につながっていく大切なものだから。