夫との喧嘩が絶えない 後編


感情の取り扱い事例
夫にイライラ! 〜妻の賢い選択とは?〜

夫への怒りやイライラといった感情の裏には、「大切にされたい」といった思いがあったことに気づいた受講生に対処法を伝えると、意外な言葉を口にした。いや、意外でもない。正直よくわかるし、そう感じている女性は少なくない。受講生が言った一言は「それでは、負けたことになりませんか?」だった。続けて、彼女はこうも言った。「家に男が二人いるよう

事例の受講生は決して男優っているような風貌ではない。それどころか、子供を産んだとは思えないほど美しく、エレガントな感じさえする。受講生と話をしていると快活で優秀な女性という印象が伝わってくる。往々にしてこういうケースだ。「こういう」とは女性でいて優秀、身なりもきちんと整えていて、会話も楽しいし、礼儀作法もちゃんとしている。ご両親が愛情持って育てられたことがよくわかる。

男性に負けたくないといった思いがある女性の多くは長子だ。そのお家に最初の子どもとして誕生し、大切に育てられた女性の長子。だからこそ、優秀さを発揮することに親は全力を注いだ。男なんかに負けないように。下に妹が生まれたか弟が生まれたかでも違うし、年齢差にもよるし、妹弟が生まれたことをどう解釈したかでももちろん違ってくるし、次子でもそういった役割を担う子もいるのだけど、女子の長子で快活で優秀な方ほど男性に負けたくない思いが強い。そう育てられたからね。親の想いを敏感に感じ、家の中に自分の居場所を確保する方法として、また純粋に親の期待に応えたい思いが強い優しい人が多い。そういう気持ちがあったからこそ、特に子どもの頃は存分に力を発揮できたかもしれないし、今のご成功があるのもそのためかもしれない。しかし、家庭ではその思いが強すぎると災いを招く。受講生が感じていたように、勝ち負けが大きな判断基準となり、ひとつの家庭に男性が二人いるような状態になってしまう

理由のひとつは結婚後、女性側が男性に支えられているという実感がなくなっていったことにあるだろう。昔は男性じゃないとダメなことが多かった。力仕事だって、女性の安全を守ることだって男性じゃないとできないことが多々あった。しかし、単純に男性のパワーを発揮する場面が現代では少ない。生活することにおいては女性の方がやっぱり長けている。長年、男性がマンモスを捕まえにいっている間、女性は子供を育てながら村でうまく人間関係を作っていかなければならなかったから。私は、現代は非常に男性に不利な社会で女性にとってはかなり有利な時代になっていると感じている。だからか、子育てがひと段落ついたご夫婦で相談にいらっしゃるパターンが変わってきている。以前は女性側から「もう我慢ならない。男性とは別れたい」といったケースが多く、男性は「?」という感じだったが、最近は男性側から「もう我慢の限界。女性と別れたい」といったケースが多くなってきていて、女性が「?」となっている。家庭を円満に保つために育児や家事を分担したりしてきたがもういいだろうといった感じだ。

女性側から言うと、この男性なら私を支えてくれる!と結婚したものの、女性が「支えられてる!」と感じるような支え方をしてくれる男性は非常に少ないので失望している状態だと言える。男と女は感じることが違うのだから仕方ない。だからこそ本来、女性は夫を理想の男性に育てていく必要があるのだけど、そういうことを誰も教えてくれない。
例えば、女性は同時にいくつものことをやれるのに対して、男性はひとつのことを集中してやるため、生活能力が低く感じられ「私を支えてくれる力」も低いと誤解してしまう。すると、嫁のイライラは発動する。今後、女性の管理職が増えると男性はコミュニケーションが取れず益々疲弊するかもしれない。この話はまた別の機会にすることにしょう。

家庭にお父さんは二人要らない。となると、女性が、より女性性を伸ばす必要があり、そのためには女性は夫に支えられている実感が必要で、女性が支えられた実感を感じることを具体的に夫に伝えることから始まる。やってくれたらとびっきりの笑顔を与える準備をして

どんな母親や妻が子どもや男性が理想としていると思う?女性の方々、ちょっと考えてみてほしい。優しさや気が効くなどもあるだろうが基本的に子どもや男性は「機嫌の良い母」や「機嫌の良い妻」を望んでいる。望まれているのは何も難しいことではなく、「機嫌がよい状態」なんだ。男性の方が女性より純粋にできている。そんな男性と戦って、家庭に不穏な空気を作ってまで勝つことは賢い女性が選択することだろうか?

この質問に受講生は静かに首を振った。もちろん、長年やり続けてきた慣れ親しんだ思考をいきなり修正することは難しいだろう。しかし、少しづつ少しづつ戦いの場から女性は降りる必要があり(モラハラ傾向にあったり、妻をコントロールしたがる男性の場合はまた別)、男性をたくましい男性に育てていく思考の選択が大切になる。

熟年になっても円満を保っているご夫婦の奥様は優秀だ。そういった女性には必ず引ける強さがあり、男性をヒーローに仕立てている。まかり間違っても妻の方がヒーローになろうとはしていない

時間がかかるだろうが、チャレンジしてみましょうよ!の言葉に深くうなづいた受講生。「恥ずかしくてこんなことできるか?」とバカらしく感じたり、やり方を間違うことも当然あるだろうが、あなたの本当の気持ちは「女性として夫に大切にされたい」にあった
きっと二人はより良い方向へ向かえる。子育てにも良い影響を与えるだろう。報告、待ってるよー!