ダイエットの鍵は自己概念


感情の取り扱い事例
痩せない人、痩せてもリバウンドする人

ダイエットで痩せる方法は多く語られても、痩せた体重を維持させる方法について語られることは少ない。ダイエットに成功しても、リバウンドしてしまう人とそうで無い人がいる。その違いは一体何だろう。

私の人生では過去2回、大きなダイエットをやっている。1回目は10代の時、高校受験ですっかり太った体重を25キロほど落とした。2回目のダイエットはこのブログでもその過程を書いているが2018年、50代突入を前にして落ちなくなっていた体重を10キロほど落としてベストボディジャパン に出場している。

実は体重を落とすこと自体はそう難しいことでは無い
ショッキングなことがあり、このままじゃダメだと真剣に事実と向き合い、食事と運動を変えれば、誰だって体重のメモリを落とすことはできる。しかし、その過程で心境にも変化が起こっているかどうかは見た目ではわからない。例えば、目標体重まで我慢!と決め、糖質を制限し、運動を日常に増やし、痩せていっている間もずーっと我慢している感覚が抜けなければ、目標体重に来た途端に元に戻っていくだろう。一方、スレンダーな自分が自分であるといった認識やこの食べ方や運動が日常になって仕舞えば、それが『普段の私』であって特別な感覚は薄い。こういった自己概念(セルフのB)の書き換えが起こっているか、そうで無いかがリバウンドするかどうかを分けている。つまり、リバウンドは自分への信頼度との関係性が強いのだ。

受講生は大学生の頃に20キロのダイエットに成功していたが、最近、仕事の立場が変わり、お付き合いも増え、食事も運動も自分が決めた通りにできないことに焦りを覚えていた。「3キロも太ってしまって…」と泣きそうな勢いだ。

3キロ太ったことは人目にはわからない。それは受講生もわかっている。受講生が恐れているのは、「このまま太っていったら」だ。パニック状態にも見えた。1キロ、2キロと太り出したので、慌てて体重を落とそうと糖質制限したり、運動を新たに追加してみたりしたものの一向に減らない。せっかく何年も自己管理できていたのに、ここに来て一気に太ってしまったら元の木阿弥だ。

「その恐れが体重を減らさない理由なんだよ」と伝えると、「意味がわからない!」とキョトンとしていた。

「以前に戻るんじゃないか?!」といった恐れには、歪んだ自己概念(セルフのB)が垣間見える。「私は太りやすい」「もともと太っていたから戻りやすい」「本来の私は太っている」「太っている私には価値がない」「私は水でも太る」といった自己概念だ。このように自分に厳しく当たって、体重管理していくこともひとつのやり方ではあるが、長くは続きにくい。なぜなら、こういった自己概念(セルフのB)を持っていると、少し食べ過ぎただけで強い自己嫌悪を感じるから。「これじゃダメだ。明日から食べないようにしよう」と決める。食べないようにしようと意識するほど人は食べ物のことが頭から離れない。妙に意識してしまって食べ物ばかりが目に付き、頭が食べ物のことだらけになってしまうといったことを引き起こす。

そもそも受講生はすでに痩せて20年ほど経っている。なら、もうその痩せた体重の自分が自分のはずだよ。なのに、以前の太っていた時の自分を手放していない。つまりは、今の自分を信頼していないのとイコールじゃないのかな。

受講生は???と意味不明な様子。
自分に無かった思考や不慣れな思考は、簡単には受け入れられない。

糖質をとったり、みんなと飲みにいったりすることを避けていた受講生に尋ねた。「痩せていてもご飯を食べたり、飲み会に行ってる人がいるのになぜ、私は出来ないんだろう?って考えたことない?」すると、受講生は深く何度も頷いた。そして、「自分を信頼すれば、そういうことをやっても太らないってことですか?」と質問してきた。

ダイエットの目的は人生を謳歌するためのもので、我慢のためにするものじゃないもっと自分を信頼してみましょう。多少、食べ過ぎたからってそんなに急激に太りやしない。それに、身体はよく知っている。食べ過ぎれば翌日はお腹減らないし、適度に体を動かすことは身体が喜ぶことだから、やりたくなるものだよ。太っている人ほど食べることにOKを出していない。一生食べていくのに食べることにNGを出し続けているんだ。自分責めは成りたくない自分を強化する嫌な自分の餌になるんだ。

受講生は自分を信頼することにチャレンジすると約束してくれた。2週間後、姿を見せた受講生はイキイキしていた。というのも、自分を信頼しようと決め、多少食べ過ぎても「太りはしない。大丈夫。」と唱えていたら、無駄な食欲はなくなっていき、頭から食べ物が離れないといったことは起こらなくなったらしい。それどころか、2週間で元の体重に戻っていったと言う。

受講生は不思議がってもいた。「あんなに色々やろうとするほど、体重は増えていってたのに、なぜ自分を信頼したらちゃんと体重が戻ったんだろう?ご飯もパンも麺類も、糖質を美味しく食べているのに。」

現実は自己概念(セルフのB)が映し出されているだけだから。受講生は20キロも痩せれた自分を信頼していなかっただけ。そもそも20年も痩せている自分への信頼を回復すれば、その通りになっていく。それに、ダイエットに大切なことは目的だ。ダイエットのための毎日なんて本末転倒で、自分の人生を楽しむためのダイエットなのだから。

ダイエット関連の記事でこのブログを訪れる人も少なくない。ダイエットがうまくいかない人は目的を間違っていることが多い。よく「ダイエットに成功して人生が一変しました!」といった記事を目にする。もちろん、努力した自分がもっと好きなるとか、やればできる感が増すといった効用はあるにしても、痩せたからといって人生はそう変わらないものだ。
今の現状を太っていることのせいにしている人は、意識では「痩せたい」と言いながら、無意識ではその恩恵を知っている。痩せてしまったら、事実と向き合わなければならなくなり都合が悪いから痩せないように無意識的に自分に働きかけてしまう。ダイエットの手法以前に事実に向き合うこと、自己概念(セルフのB)を見つめなおすことをお勧めする。お金と体重の問題は本来の課題を見ないためのダミーとしてよく使われるから。