感情の取り扱い事例
タラレバ
講座の中でも多い話題はダイエットとお金の問題。
もう少し痩せたら〜なるのに。
もう少しお金があれば〜できるのに。
ダイエットとお金の問題は『タラレバの王道』だ。なぜなら、ダイエットとお金の問題を口にする人で、病気を心配しなければならないほどの肥満な人も、今日のご飯を考えなければならない人もいない。大概は問題ない範囲であり、本気でやればどうにでもなる範疇だったりするのに、やろうとしないから。
「タラレバ」とは、事実とは関係ない仮説を持っていて、そこを手放そうとはしない。やりたいと言いながら、やりたいことに手をつけないための言い訳だ。基本、やる人はやりたいことをやるのに条件をつけない。どんなに不利な条件が揃っていても、やる奴はやってしまうものだ。
「お金があれば」「痩せさえすれば」が口癖のような受講生がいた。
私からの質問は
✔︎お金があればどうすることができると思っているの?
✔︎痩せたら何がしたいの?
「タラレバ」と思っていることが現実的に変わった先を具体的に想像してこなかったのだろう。随分、時間をかけて考えて「お金があれば仕事をやめます。痩せたら自信が持てます。」と答えた。
仕事をやめたい、自信を持ちたいと思っているのね。それが本音ならそう言ったらいい。そもそも仕事を辞めることとお金、自信とダイエットは関係があるんだろうか。仕事を辞める人は皆、お金を持っている人か?痩せていれば全員が自信を持っていて、太っていたら誰もが自信を持っていないのか?
答えはNOだ。だから「タラレバ」とは、事実とは関係ない仮説を持っていて、それを手放そうとしないことであって、「タラレバ」が事実とは全く関係ないことに直面化したら、「タラレバ」を手放したほうがいい。だって、「タラレバ」といった条件をつけて、さも「やりたいけどできない風」を装うのは、厳しい言い方をするとずるいやり方だから。「こんなに頑張ったんだけど、できなかったんだ」といった努力の証拠や、やれない言い訳を集めて人生を終わって本当に良いのだろうか。勿体無くないか。
そうやって生きることは、幼少期の受講生にとっては工夫だったのだろう。父は厳しい人だったと言う。テストで97点を取っても褒められることはなく、なぜ100点が取れなかったのかを問いただすような父だった。完全を求めてくる父、何をやっても満足してくれない父に対して、常に言い訳を用意する癖がついたのかもしれないね。小さい頃は選択肢が少ないから、それも仕方ない。
しかし、十分大人になったあなたが今もそのやり方を続ける必要はない。それどころか、「タラレバ」の思考の原因を幼少期の自分に押し付けるのは、狭い世界の中で工夫して一生懸命にサバイバルしてきた幼い自分に失礼なんじゃないか。
どのやり方でもいい。意識的に選ぶことが大事
受講生に問いてみた。「タラレバ」の構造が意識できたら、やり方はいろいろある。もちろん、今までどおりのやり方を続けてもいい。どのやり方を選ぶ?何を選ぶかは問題ではない。あなたが自分で自分の生き方を選択することが大事なんだ。
1、今まで通り、「タラレバ」といった条件をつけてやらないやり方を続けるのもひとつの手。
2、会社を辞めたいとか自信を持ちたいといった本当の気持ちを言葉にすることを選択し、事実とは無関係な「タラレバ」は使わない生き方もあるだろう。
3、「タラレバ」を言い訳と了解した上で使っている人もいる。ただ、言い訳とわかって使い続けているのなら、「やりたい」「なりたい」と口にしない。いつもいつもそんな「タラレバ」を聞いている側の身になってごらん。本気で変わる気もないのに、挨拶するように「タラレバ」を使われたら迷惑だよ。この受講生の場合なら「会社を辞めたい」「自信を持ちたい」とは、もう口にしない生き方だ。「会社を辞めたい」「自信を持ちたい」に本腰入れるつもりもないのに、条件が整ったらやりたい風な嘘をつくべきではない。
受講生は、「ずるいやり方だったんだ…」と何かを感じているようだった。その後「タラレバ」を使わないことを宣言した。「父もそうだった」と受講生は続けて言った。「大嫌いで大好きだった父と結局は同じ生き方を私はやっていたんだと振り返ると、私は自立してなかったんだなと思います。50代でお恥ずかしいですが、自分らしい生き方を探っていきたいです。」とも。
始めるのに遅いということはない。気付いた時がタイミングだ。
さぁ!しっかりトレーニングを重ねていきましょう。やるほどに、しっかり自分の足で立っている実感が湧いてくるわよ。今でも十分魅力的な受講生だが、さらに何千倍も彼女らしく輝くだろう。そんな彼女をこれからもしっかりサポートしていきたい。