
感情の取り扱い事例
【「すぐ飽きる」人生のパターン】
「うっ!聞いただけで胸が苦しくなる」
と言ったのは、本日の受講生42歳、女性会社経営者、独身。
彼女はいつも「人生を賭けたくなるほどの打ち込むもの」を求めていた。というのも、経営している会社はうまくいっている。パートナーは募集中だが、焦っているわけでもない。友達も多いし、重大な問題を抱えているわけでもない。だが、心が満たされない。
そこで、満たされない理由はきっと「人生を賭けたくなるほどの打ち込むもの」がないからだと解釈していた。もちろん、短い間だけそんな気になるものはあるが、大抵はすぐに色褪せてしまう。まだ出会えてない・・・と受講生は考えていた。
そんな受講生にやっと「これぞ!」という趣味が見つかった。
週に一度通って習うその趣味が楽しくて仕方ないらしい。「将来、もっと上手になることを考えるだけでワクワクして、何時間でも練習できる!」と語るのがここ数ヶ月の受講生の状態だった。充実していて、楽しくて、求めていたものはコレだ!!!といった風で、「スカスカで渇いていた私の心が潤っていくのがわかります!」とも話してくれた。
そんな受講生が今回の講座には、浮かない顔をして現れた。
話を聞くと、ふっと対象への情熱が切れてしまったらしい。理由は「突然、面倒くさくなった」と言う。何が面倒かを具体的に尋ねるとお教室の先生の何気ない一言がきっかけだったらしいが、その後、習いに行くのも、お教室の人たちに会うのも、図面を見るのも、道具を出すのも、ぜーーーんぶ面倒くさくなったらしい。受講生は「以前のワクワクした気持ちに戻れたらいいのに・・・」とも言っていた。
時間と共に盛り上がった気持ちが落ち着いていくのは自然なことだ。
誰だって、自分が探し求めていたものに出会えれば興奮する。
ただ、興奮は長く続くものではないので、楽しみが日常化される感じに落ち着いていく。
しかし、受講生は「落ち着く」を通り越している。
しかも、理由らしい理由はない。
すると、これぞ!と言うものが見つかってしまうことそのものがマズイと潜在意識で感じている恐れがある。
これはあくまでも仮説ね。
もし、「人生を賭けたくなるほどの打ち込むもの」が見つかってしまったらマズイとしたら理由はある?
あなたは「スカスカで渇いていた心が潤っていくのがわかります!」と喜んでいたけど、実は、心が潤うのがマズイとしたらどう?
スカスカを埋めるために頑張ってきたのに、潤ってしまったら何に向かって頑張っていいかわからない。ずっと望んでいたが、潤った状況に慣れていないとしたらどう?
受講生は俯いてしばらく考え、ニヤッと笑った。
ニヤッとした理由を尋ねる私に受講生は楽しそうに語ってくれた。
「わかりました!
私は「心がスカスカ」がデフォルトで、それが思いがけず潤ってしまっているのに慣れず、
自分のデフォルト、つまりセルフのBの「私はいつも自分の心がスカスカだ」状態が慣れ親しんだ状態だから、そこに戻りたくなって「これぞ!」とやっと感じれた趣味を無自覚に手放そうとしている。そう言うことですよね。」
さすが優秀!
あなたの、これまでのパートナーとの関係も同じでしょ。
「うまくいくと、彼が面倒臭いと言いだして別れる。しかし、ひとりになると寂しくなって(心がスカスカ)、パートナーを探し始める。やっと見つかった!運命の人だ!と盛り上がって付き合うが、やっぱり慣れ親しんだ状態の「心スカスカ」を求めて、また彼が面倒臭いと言いだして距離を置く・・・」を繰り返している。
過去、あなたの人生にこのパターンを何度繰り返しているの?
私の、最後の質問への返答が冒頭の「うっ!聞いただけで胸が苦しくなる」だった。
受講生にとっての人生は「欠けているものを追い求めること」であり、「欠けているものを埋めること」なのだ。だから、埋まってしまうと成長が止まうようで嫌だし、埋まってしまってからの生き方を知らない。知らない世界は不安定で、安定を求めて、彼女のデフォルトの心スカスカに無自覚に戻ろうとしていたのだ。こんなパターンを人生で繰り返している人は少なくない。
しかし今回、受講生はこのパターンを自覚できた。
ふーっ。
欠けているものを追い続ける人生がここで終わる。
パターンを変えることができますね。
城ノ石ゆかり公式サイト
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