50代男性の恋 その後


感情の取り扱い事例
孤独に飲み込まれなくなった

普通に家に帰れるようになりました。そして、普通に家に居れるようになりました」と話し出した受講生は、以前このブログで書いた『50代男性の恋』の主人公受講生。

今年の8月、女に利用された50代男性の恋は自信の無さに付け込まれたものだったが、家庭を持ちながら恋をするといったチャレンジから、孤独感が問題なのではなく本体の自分を封じ込んで生きてきたことが課題とはっきりし、今より倍は稼ぐことが宿題になった。あれから4ヶ月経って講座に現れた受講生は、当時とは見違えるほど安定した姿で現れた。

「普通に家に帰れるようになりました。そして、普通に家に居れるようになりました。」って、普通のことじゃない???と思われた方もいるだろう。しかし、どこか飲み屋に寄ってしか帰宅できない、家に居場所がないと感じる世の男性は少なくない。仕事が忙しいと言いながら、毎日残業に明け暮れる目的がココにある人も多いのではないのだろうか。彼らこそ受講生同様に、家に居場所がなく、素面では家に戻れないのだろう。

受講生はまず、自分が家にいる効用を話してくれた。
・子ども達が安定する。
・妻が安定する。
・家族が落ち着いている。

そして、以前そういえば妻に「相談したい時に家にいない…」と言われたことを思い出したことも話してくれた。

当時、自分の孤独ばかりに目が向いていた時に私から尋ねられた「家族は、子どもたちは孤独じゃないのかな?」の一言がきっかけだったと受講生は振り返る。自分の子ども時代と息子が重なった。「まだ小さかった自分が寂しかったのと同じように今、自分の息子も寂しいんじゃないか?

人が悩みを深める時は、ふたつの材料が揃っている。
ひとつは有り余る時間。基本、時間を持て余しているビジネスマンは居ないので、やらなければならないことはあるが、やりたくなくて先延ばしている時と書いた方が正しいかもしれない。
ふたつ目は自分の気持ちばかりにベクトルが向いている時。自分、自分と思っている時は周りがどうか?には目が向かない。自己中心的で幼いと言える。自分以上に苦労してたり、寂しい思いをしていてもしっかり毎日を生きている人がいる。そんな周りに目を向けると、本来は自分のことばかりを考えている自分が恥ずかしく思えてくるものだ。

受講生は自分の息子の立場に立って家族を見たのではないだろうか。セルフのB(自己概念)は子どもに引き継がれる。「自分と同じ思いを息子にさせてはいけない。」そう感じたのだろう。子どものためなら踏ん張れる。人は誰かのためなら登れる山がある。受講生が落ち着いて家にいることで妻も子どもたちも安心できている。最近は家族で食卓を囲む日数も増えたらしい。受講生が父性を発揮しているので、妻は母性を発揮でき、子どもたちは安心して自分を発揮できる。良い連鎖が起こっていた。

受講生は「孤独感に飲み込まれるのではなく、意識的に孤独感を見る事ができるようになった」とも続けて話してくれた。特にやりたくない仕事に取り組もうとすると孤独感がやってくるという。それがはっきりわかるようになったと。

素晴らしい!孤独感や自己憐憫に逃げなくなったとおっしゃっているように私には聞こえた。受講生は一回り大人になった。そして、以前より一層強くなった。宿題だった「倍稼ぐ」はやり遂げている。ビジネスは安定的にさらに伸びていくだろう。いや、やっと彼を彼が発揮できると言ってもいいかもしれない。彼が彼になっていくスタートを切った。やるほどにデンとしてくるはずだ。そんな彼の姿を見る日が楽しみでならない。