感情の取り扱い事例
健康的な生活をしたくない本当の理由
ダイエットしたいんですが、なかなか痩せなくて…。つい、飲み過ぎたり食べ過ぎたりしてしまうんです。私の父はものすごく健康に気を使う人でした。運動をし、食事制限をしていましたが癌で3年ほど前にこの世をさりました。
この50代の受講生は「頭ではわかっているがやれない」と言っている。私たちには理解していても実践できないことがある。4nessコーピング的には、「実践できない」というのは「実践したくない」ということ。
実践したくないとしたら何?と尋ねると、
「僕が痩せないのは、人から攻撃を受けないためなのかもしれない…。父はあんなに健康に頑張っていたのに癌になってしまった。家族にも健康がベースだと口酸っぱく言っていました。うざいぐらい。父のような生活をしたいとは思いません。結局、努力してもそうるんじゃん。意味がないように感じているからかもしれません。」
父が反面教師となっていて、死んだお父さんに復讐してるわけね?復讐している結果、自分が肥満となって健康を害している。私は お父さんの満足する息子にはならないよ。息子にしないよ。
それがあなたの人生なの?残念じゃないか。能力もあるし、センスもある。洞察する力もある。それは誰からもらったの?
黙って、でも真剣に私を見つめる受講生。
あなたにとって必要なことは和解することだよ。和解って何かわかる?ここにお父さんがいたとするよ。君なら想像できるでしょう。お父さんがいたとしたら、今のあなたの話を聞いたとする。どう思うのだろう?
黙ったまま俯く受講生。
感じたくないんだね。感じたらいけないと感じているのかしら?感じない息子、何も考えられない息子を見たときにあなたのお父さんは嘆くだろうね。ただ、私が見たところ、感じないふりをしているだけに見えるけど、どうしてかわかる?
だって、お父さんのことをこれだけ考えている。こんな親を思う息子、どこにいる?お父さんを愛しているんだよね。人は愛しているからこそ、認めて欲しい欲求が大き過ぎてに耐えれずに反発する。お父さんのようには生きないといったアンチ父的な生き方は、お父さんを軸にしていることに変わりはない。まずはそのことを深く認める必要がある。そんなにも父を愛していた自分を。
受講生はただただうなずいていた。
十分、理解したのだろう。何もかもを父のせいにして、父のことを考え、父がいなくなったことを3年経った今も嘆いている自分がいたことに気づいたようだ。今の自分を認めることが一歩深まった受講生は、自分自身で生きることを始めようとしている。ここからやっとあなたの人生のはじまりだよ。