いつも私は邪魔される…


感情の取り扱い事例
自分の思い通りの人生を手に入れるには

「ネガティブ」と言われる負の感情においては特に多くの人が「普通」を受け入れない。例えば、妬ましい思いや悲しさ、残念な思いや寂しさを「ダメ」なことだと思っている。
あまりにそう考える人が多いので一体、何の弊害なんだろう⁈と考えると、リアルな人の感情に触れてこなかったことが原因じゃないかと感じる。例えば、漫画やドラマ、映画の主人公はいつも前向きだ。成功している人は人を妬んだりしてないように見える。
本当だろうか

いつだってスムーズにいった試しがない。私は何をやっても阻止される感じなんです。いつも思い通りにならない。

受講生は会社で、求められた企画を出したのに通らなかったことに憮然としていた。加えて、受講生のプライベートな予定の移動を小耳に挟んだ上司から新型コロナの影響でやんわり制限され、全てが阻止されているように感じたと言う。

人は思い通りにいくことは何割程度だと思う?
私からの質問に受講生は悩んで「8割程度?」と答えた。

本当?人はそんなに思い通りに人生を進んでいるの?

全てが思い通りになっているように見せるのが上手な人はいる。そうやって思い通りの人生が送れることを商売にしている人もいる。が、事実なのだろうか。お笑いの人たちはいつもいつも楽しいのだろうか。だったら何故、売れている芸人さんで鬱になる人がいるのだろう。アイドルは人気が出るほど嬉しい反面、苦しんでないか。マイクロソフトの創始者ビル・ゲイツはあれだけの資産を持っているが、記者に「欲しいものは?」と尋ねられて「private」と答えていた。何かを得ることは何かを失っているんじゃないか

自分の思い通りになることが多くて2割程度だとしたら、あなたの人生はどう?

「2割程度なら、かなりうまくいっていると思います。」と受講生は小さな声で答えた。

そう!結構うまくいってるんだよ。だけど、そう認めると不味かったんだよね。自分はいつもうまくいってないとしていた方にメリットがあった。人の人生の良いところだけを切り取って、なぜ自分のダメなところと比べるのだろう。そうやって落ち込むことで、不満を溜めて一体、何を回避しているのだろう。何を目指しているんだろう?

本当の私はこんなものじゃない。こんな程度で人生が終わるはずがない。そう思ってない?子どもの頃、思い描いた人生と今が違う。そんな今を受け入れたくないんじゃないの?

ストレートに言うと未成熟。本来、直視しなければならないのは幻想を捨てきれない幼稚な自分。私たちは人だから、うまくいくこともあれば、うまくいかないこともある。そして、うまくいったと思っていたことが結果ダメで、うまくいかないと思っていたことがうまくいっていたといったこともある。つまり、今のジャッジさえちゃんとできてない自分がいる。自分の思い通りの人生を描いていくには、そういうことをすべて事実として受け入れる力が必要なんじゃないのかな。

ましてや、新型コロナで外出自粛の今、求められることはwantではなくshouldの力。すべきことを優先できる力で、それは本来、日本人が誇れる部分。強制力を持ってせずとも自分を律することができる力で、事実を受け入れる強さだと私は思う。
人物の好き嫌いが言えるほど歴史に詳しくないが、徳川家康は「不自由を常と思えば、不都合なし」と言っている。事実に向き合い、努力を放棄せず、囚われない心を維持するための彼の工夫の末の言葉だと思うんだけど、どう?

もう一度考えてみます。
と受講生は答えてくれた。正直でいい。自分と向き合おうとしている。何事にも時間がかかるものだね。それでいい。