転職したいと思いながらもなかなか重い腰が上がらない

感情の取り扱い事例

「今の会社を退職したい」と思っているのになかなか退職しない受講生。

とっとと退職することがベストだとは思わないが、退職したいと思いながら勤務し続けるのは辛い。

そこで、職場では「自分の仕事を早く終わらせることだけに集中する!」という宿題を出した。

「自分の仕事だけに集中する」ということは、例えば、同じ職場の人から
「これ、どうやったらいいと思う?」と相談されたら、「ごめん。わからない。」と答えて、自分の仕事をやるということ。

さぁ!チャレンジしてみましょう!から1ヶ月後。
実際にやってもらうと、
自分のことを考えない時間が多い」といった感想。

自分のことをさておいて、何をしたがっているかというと
仕事においてこうやったほうがいいんじゃないか?
もっと、こうしたら良いんじゃないか?と考えていると言う。

そう考えることのメリットとデメリットは、
デメリット:時間がなくなる。
メリット:自信がつく、自分の存在意義を感じれる。寂しさを紛らわせることができる。

そうだね。
つまり、仕事のことを考えるようにして自分の寂しさを紛らわそうとしている。だから、残業して自分の時間がなくなることは最大のメリットになる。

本来、「仕事」は自ら課題を見つけ解決していくことで
社内のメンバーには働きやすく、お客様にも喜んでいただける仕組みをつくっていくといった創造的なものなの。

だから、受講生のやっている「仕事」は間違っていない。

そういう創造的な「仕事」をすることで自分の成長も促されるから、仕事は楽しいものなんだ。

自分の仕事を終わらせることばかりを考えている人はただの「作業」をこなしているだけに過ぎず、「仕事」をやっているとは言い得ない。

しかし、受講生は自ら課題を見つけ、解決していってるにも関わらず、
喜びを感じるどころか、「退職したい」と考えていた。

この違いは「目的」の違いだ。

会社のため、自分の成長のためであれば、いつもいつも見返りは要らない。

しかし、受講生の仕事は「寂しさを紛らわす」目的のための手法なので、
2つのご褒美が必要となる。

ひとつめは時間がなくなること
そして、ふたつめは「ありがとう」や「すごいね」といった他者承認を得ること

この手法は営業職なら手当がついたり、インセンティブが発生したりと
例え他者承認が得れなかったとしてもその見返りが目に見えてわかるからまだいいが、事務職には辛い。
なぜなら、事務職は自分の仕事の範囲を広げても、作業だけやる人とお給料も立場も変わらない。

だからこそ下手すると「私はこんなにやっているのに…」と虚しさを感じ、
周りへの不平不満になってしまう。

仕事をやる目的が本来の目的ではなく、「寂しさを感じないようにするため」といったそう的自己防衛であるから、職場を変えても同じことを繰り返す。

このことを受講生は無意識的にわかっていたのだろう。
だから、なかなか転職に重い腰が上がらなかった。

勘が良い受講生だ。

beingが意識できれば、次はdoing。
このケースのdoingついては次回。