感情の取り扱い事例
消えてしまいたい…
「消えてしまいたくなるんです」と言ってきた受講生は成功している経営者。彼は続けてこうも言った。
「誰とも話をしたくなくなる。会社に行きたくないんです。」
経営者が会社に行きたくない?と驚かれる方もいるかもしれないが、経営の順調さとは関係なく、そういった経営者は少なくない。私自身、23年ほど会社を経営しているが、受講生の気持ちは痛いほどよくわかる。
なぜ、経営者なのに会社に行きたくないのでしょう?
「人がなぜ頑張るか」というところを考えると、鬱的な自分の存在が消えて無くなりそうになるというか、存在がしぼんでいくことに抗じるためだ。経営が順調に行き始めると自分の存在が希薄に感じてくる。ここでの本質的な問題は存在の感覚、存在の確認への飢えへのSOS。
人はまず、doingレベルでの成果を求める。
結果を出し、収入を上げ、名声を上げ、存在の価値を追い求めようとする。しかし、それが達成してくると「何だったんだろう?」と思い始める。そこに想像していた自分の存在が無いから。
人はどうやって自分の存在を確認しているのだろう?
悩み続けることが生きていることそのものなのだ。「自分」として生きている実感が乏しいとも言えるかもしれない。そうなると、自分の中であることを感じつつ、受け止めつつ、受け入れつつ、を磨いていくことが大切になる。向かうべきところを探し、そこへ全力で向かうことはひとつの手法となる。
doingレベルで感じずに生きるのもひとつの方法。thinkingを放棄する方法に向かうと少し厄介となるが、優秀な経営者なら気づいてしまうだろう。すると、気付きながらdoingをやってゆく、つまり『選択』がKeyになる。
疲れを感じなくすることで自分に鞭打ち、自分の存在を感じるようにしているといった、ある種の防衛メカニズムを使って身を守っている手法を自覚する必要がある。自分の中に起きていることによく気付いて、だからどうする?だからどうしたい?と自分とよくよく会話し、自分に十分にOKを出しながら歩みを進めていくといったプロセスに重きを置く。
副交感神経を活性化させ、交感神経とバランス良くすることで自分の中がスッキリする。そういった効果がある自分なりのやり方を探す必要がある。それは、何も大袈裟なことじゃなくて、1日をリセットするような時間のこと。例えば、お風呂にゆっくり入るとか、スポーツで汗を流す時間を少しだけ持つとか、自分で発見した手法としてやってゆく。
会社に行きたくないことを責める必要はない。そう感じたことをどう扱うかだ。自分に取り組むことでより深く自分を学んでいく。新しい役割、新しいステージの自分を作り上げるときはきっと心の奥底の襞を理解してくれる人が現れるはずです。
さぁ!しっかり覚悟して進めていきましょう。