成長しない夫との離婚を考える妻

感情の取り扱い事例【夫婦の分離個体化期】

 今回の受講生は夫への不満を抱え、離婚を考えていた
受講生が尋ねたいことをまとめると以下だ。

・夫に不満があることを直接夫には伝えてはいないが、結婚した当時から夫は全く成長していない。子育ても生活面も経済面も私ばかりが色々やっている。
・子育てがひと段落したのを機に離婚を考えるようになった。
・このような考えを持っていることをゆかりさんはどう思うか?

子育てをしている時期は夫婦の個体化ができなかったが、今「私が私になる」ということが受講生(妻側)に始まっている。

男性や女性といった性の違いに関わらず人は「私になる」を人生の中で深めていかなければならない。その際、次のステージは結婚離婚に関係なく(離婚が必要な場合もある)、男として女としての相手の存在に対するOKが出せるかどうか。つまり、好きになれるかどうかがポイントとなる。

好きになれなかったら新しい異性との出会いが用意されているもので、
すると最初の結婚とは全く違った、好きという感覚を学べる、知ることができる。こういう世界があったんだという発見につながるから。

夫は「夫としての役割、父親としての役割はこういうものなんだ」で生きてきてしまったのだ。夫は現状を維持していれば悩まなくてよかった。
夫は自分のあり様とか生き方とか、beingの部分に悩まなければ改善は期待できない。受講生(奥様)は自分のあり様を考え、新しいステージに立っているので夫が事実に直面化できる場面は、奥様が出ていくとか機会がおとづれた時。それが彼のチャンスとなるでしょう。

現状維持モデルが男性に多いのは、男社会の方がはるかに能力(doing)を求められるからで、能力(doing)を求められる世界の中で四苦八苦しているうちは次にはいけない。能力(doing)を求められる世界でうまくいけばbeingに関心が向く。「根本的な問題はbeingなんだ」と気づけた人は現状維持モデルから自己成長モデルに移行し、変化を遂げることができる。

夫への不満を伝えれていないことに対しては、あなたは何かを恐れているね。自分の思いを言えない人は、例えば見捨てられること、相手からの攻撃など、何かを恐れおている。だから、beingを点検し「揺るぎない私」を一度体験すると問題は解決する。要するに、自分は何を恐れていたか?を考える必要があり、そこに大きなヒントがある。

例えば今回のケースでは、あなた(受講生)は夫の行動面がおかしいというのを遠慮して夫に言わなくなっていた。そういう点ではあなた(受講生)にも責任があるんだよ。

あなた(受講生)がご主人に対して、保護的な意味があって「面倒を見てきた」という側面があれば、男は行動を変えない。そういう意味ではあなた(受講生)の教育不足があり、あなた(受講生)は自分の夫への教育不足を自覚する必要がある。そういう女性のもとで過ごしたとすれば、夫は成長していない。成熟を怠ると、ひどいことが起こるね。

ただ、あなた(受講生)は「私は人を好きになったことがあるのだろうか。愛することは相手の面倒を見るということだと思ってないか。」といったように既に自身を振り返っていて、内省している。今、感じていることをヒントに課題に直面化を図り、乗り越えることが成熟のプロセスになっていくでしょう。

最後に夫婦の分離個体化期の理想を一例話しておくと、自己成長モデルの中で起こっている夫婦関係は離婚しても一緒に暮らそうということが起こっている。今までの役割に区切りをつけ、相手と距離を取ることで、互いに相手に優しくなれている。これが分離個体化期のひとつの理想でしょうね。